本記事では、VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLOR(証券コード:5032)の2026年4月期第2四半期決算について、2026年3月11日に開示された決算資料をもとに所感を書いていきます。
ANYCOLORの業績を確認したい方や、株式の購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
記事の最後に私の投資判断についても書いています。
第2四半期決算については以下の記事でも解説しています。
2026年4月期第3四半期 業績ハイライト
ANYCOLOR株式会社の2026年4月期 第3四半期(累計)は、前年同期比で売上・利益ともに高い成長率を達成しました。 第3四半期単独で見ても、多くの施策が想定以上の反響を呼び、売上は会社側の四半期見通しを上振れて着地しています。

第3四半期累計(2025年5月~2026年1月)実績
- 売上高:420億2,000万円 (前年同期比 +45.4%)
- 営業利益:169億1,000万円 (前年同期比 +54.2%)
- 営業利益率:40.2%
第3四半期(3ヶ月)単独実績
- 売上高:156億9,300万円 (前年同期比 +35.7%)
- 営業利益:58億3,700万円 (前年同期比 +38.8%)
- 四半期純利益:40億7,100万円 (前年同期比 +40.4%)
四半期見通しとの比較と事業領域別の状況
第3四半期単独の業績について、会社側の当初見通しとの比較は以下の通りです。
| 領域 | 当初予想(レンジ)金額(百万円) | 実績(百万円) | 結果 |
| ライブストリーミング | 1,350 – 1,450 | 1,454 | 上振れ |
| コマース | 9,250 – 10,150 | 10,743 | 上振れ |
| イベント | 800 – 900 | 1,390 | 上振れ |
| プロモーション | 2,100 – 2,300 | 2,098 | レンジ内(下限寄り) |
| その他 | 0 – 50 | 9 | レンジ内 |
| 合計(売上高) | 13,500 – 14,850 | 15,693 | 上振れ |
- ライブストリーミング:メンバーシップを中心とした収益構造で安定推移し、年末年始の特番や3Dライブなどの盛り上がりにより堅調に推移しました。
- コマース:第2四半期から繰り延べられていた施策の売上が計上されたことに加え、年末年始以降の大型施策の多くが想定以上の反響となり、四半期見通しを上振れました。
- イベント:カウントダウンライブや「にじさんじ WORLD TOUR 2025」などにおいて、ネットチケット販売が想定を上回り、こちらも見通しを大きく上振れています。
- プロモーション:案件実施数、平均案件単価ともに堅調な推移で、概ね想定通りの着地となりました。
商品評価損の計上について
今回の決算で注目すべきポイントとして、棚卸資産(在庫)の評価損の計上が挙げられます。
- 第3四半期:1月時点で在庫の見直しを実施し、数年前のイベント関連商品など今後の販売予定がないものについて、9.7億円の商品評価損を計上しました。これは12月公表時点では想定されていなかった費用です。
- 第4四半期(予定):さらに期末に向けて棚卸資産の評価基準の見直しを行い、会計上一定の基準で評価損を計上する予定です。初期的な試算として、15億円程度の評価損が第4四半期に計上される可能性が示唆されています。

2026年4月期 第4四半期業績見通し
現時点で、第4四半期は以下のような主要施策が展開される想定です。
第3四半期と比較すると、やや勢いが減少しそうな印象です。
第4四半期の主要施策
- コマース領域:「にじさんじ 8th Anniversary」や「にじさんじ 8th with cake!」といった、ファンの熱量が高まる周年関連の大型グッズ施策が予定されています。
- イベント領域:4月10日・11日に「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow! Encore」が開催されるほか、「TOHOシネマズ × にじさんじ」によるミュージカル初配信なども予定されています。
- プロモーション領域:「すき家」とのコラボキャンペーンなど、引き続き幅広い企業案件が展開される見込みです。
コスト面での見通し
大型施策による売上が期待される一方で、コスト面では一時的な費用の計上が見込まれています。前述した会計上の棚卸資産評価損(初期的な試算で15億円程度)に加えて、期末の決算賞与として約6.5億円の計上が見込まれています。これらが第4四半期の利益を押し下げる要因となり、結果として通期業績予想の営業利益下方修正に繋がっています。

2026年4月期 通期業績予想の修正
第3四半期までの好調な売上の伸びと、上記の評価損計上を踏まえ、通期業績予想が修正されました。
- 売上高:547億3,000万円 ~ 556億3,000万円 (上方修正)
- 営業利益:198億2,400万円 ~ 203億5,900万円 (下方修正)
修正の理由
コマースおよびイベント領域を中心に想定以上の強い需要があり、売上高は当初計画を上回る見込みです。一方で、第3四半期および第4四半期における棚卸資産の評価損の計上などにより、利益面では前回予想を下回る見込みとなりました。

中期的な成長に向けた取り組み
今期および来期以降の成長ドライバーとして、以下のような施策が報告されています。
- 新規デビューと育成 2026年1月ににじさんじから女子高生の親友コンビ「うみゃみー」(白砂あやね・水面まどか)がデビューしました。また、VTA(バーチャル・タレント・アカデミー)でも、双子/兄弟オーディションやマスコットライバーなど、多様な切り口で次世代の発掘を続けています。
- にじさんじぬいストアのオープン 4月25日より、初のリアル常設店舗にじさんじぬいストアが横浜ビブレにグランドオープンします。ぬいぐるみ系コンテンツの拡充により、さらなるファンとのタッチポイント増加が期待されます。
- 新スタジオの稼働状況 新スタジオの開設により、3Dスタジオの稼働時間が旧スタジオ比で平均70%以上増加、レコーディングスタジオは平均100%以上増加するなど、高クオリティなコンテンツ制作能力が大きく向上しています。



株主還元
ANYCOLOR社は、事業費用や成長投資と株主還元のバランスを考慮した資本政策をとっています。
- 配当:配当性向30%以上を目安とし、安定的かつ継続的に実施。2026年4月期の配当予想は1株当たり75円(中間35円、期末40円)としています。
- 自社株買い:余剰資金を原資として機動的に実施。2026年1-2月には50億円の自社株買いを実施しました。

まとめと筆者の投資判断
今回の記事では、2026年4月期 第3四半期のANYCOLOR(5032)決算資料について解説しました。
ポイントまとめ
- Q3単独の売上は前年同期比+35.7%と高成長を維持し、コマース・イベントの好調により会社見通しを上振れ。
- 売上高の通期予想は上方修正されたものの、想定外の在庫評価損(Q3・Q4合計で約25億円規模)により、営業利益は下方修正。
- 新規デビューや常設店舗のオープン、スタジオ稼働増など、中長期の成長に向けた投資は順調に推移。
今回は商品評価損の計上による利益の下方修正というネガティブなサプライズが含まれる決算となりました。市場はこの利益の修正を嫌気して、短期的に株価が変動する可能性があります。
しかし、本業の稼ぐ力(売上高の成長)については、コマースとイベントを中心に事前の見通しを大きく上振れており、IPとしての強さやファン層の熱量は依然として高いレベルを維持していると感じます。今回の一過性の在庫評価損は、過去のイベント商品など滞留在庫の健全化・膿み出しと捉えることもできます。
率直に言って、私は今の株価(2025/3/11終値:4,065円)は安いと感じています。
※なお、3/11のptsでは既に嫌気され10%以上の急落となっています
直近の株価は成長期待の限界からか、下落傾向が続いています。
(IP関連銘柄が全体的に下落していたので、個別の理由が原因かどうかは不明ですが…)
財務状況、利益率、成長率、事業内容などを総合的に考えると、今後まだ上昇する余地があるのではないかという期待があります。今後も下落が続くようなら、押し目で狙っていくのは面白いと思います。
今後の期待については、以下のような理由からです。
Vtuberの勢いはますます増している
以前の記事でも書きましたが、私は音楽ゲームをプレイするのですが、Vtuberとのコラボがかなり増えてきたことを実感しています。
楽曲提供だけにとどまらず、ボイスや3Dモデルでキャラクターとして選択できるゲーム機種もあります。
こういったキャラクターとして選択できるゲーム機種の場合、最初から無条件で選べるのではなく、たいていの場合、多くの課金が必要となります。ガチャ制を採用している場合、必要額は運によって異なりますが、1万円を超えることも珍しくないようです。
Vtuberの会社が音楽ゲームメーカーとどのような契約をしているかは不明ですが、相当の利益を生んでいるはずです。
また、音楽ゲームに限らず、ゲームセンターでVtuberのキャラクターグッズを見かけることも増えました。プライズゲームのグッズとして登場したり、店内のアナウンスとしてボイスを聞く機会もあります。
ゲームセンターのほかで言うと、例えばブックオフでグッズを見かけることも増えました。その他、雑貨店などでも取り扱いがあるのを見かけ、かなりVtuberが世間に浸透したような印象を持ちました。
とあるVtuberが、三重県に旅行に行ったとき、にじさんじのグッズを身に付けている人が非常に多く戦々恐々としたという話をしていました。三重県では案件などの事情もあるからかもしれませんが、首都圏のみならず地方でも浸透しているということで、今後も全国的な展開が期待できると感じました。
※そもそも、前述のゲームセンターや雑貨店は地方での話です笑
言葉だけではなく結果で証明
株式投資で重要なことは結局のところ、利益を稼ぐことができて、経営者がそれを株主に還元する意思があるかどうかです。
ANYCOLORの場合で言うと、売上高、営業利益を伸ばし続けていますし、株主還元にも積極的です。
| 決算期 | 売上高 | 営業益 | 経常益 | 最終益 | 修正1株益 | 修正1株配 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022.04 | 14,164 | 4,191 | 4,149 | 2,793 | 46.6 | 0 |
| 2023.04 | 25,341 | 9,410 | 9,448 | 6,698 | 110.8 | 0 |
| 2024.04 | 31,995 | 12,361 | 12,341 | 8,725 | 139.6 | 0 |
| 2025.04 | 42,876 | 16,279 | 16,214 | 11,510 | 188.6 | 65 |
| 予 2026.04 | 55,180 | 20,092 | 20,108 | 14,201 | 237.1 | 75 |
2025年4月期には初配を実施しましたし、前回の決算(2025年12月)では2026年4月期の配当の増額も発表しています。
自社株買いについても積極的で、過去に複数回実施済みです。
恐らく経営側も、自社株買いをする時点での株価が安いと考えているのではないかと推測します。
ANYCOLORは現金をかなり手厚く持っているため、それを活用しただけかもしれませんけどね。
ともかく、そういった株主還元の姿勢があるため、言葉ではなく実績でそれを証明している点については個人的に非常に評価できると感じており、保有継続の理由の一つです。
タレントにもやる気がある
ただでさえ、タレントのやる気やスキルの高さを感じていますが、最近特にそれらを実感する動画がありました。それは、「くろのわーるがなんかやる(通称くろなん)」という番組で、横浜ライブ(2025年7月)メンバーが雑談する動画です(動画公開は2026/03/02)。
【雑談回】深い話からくだらない話まで手巻き寿司食べながら大盛り上がり! #くろなん
ざっくり動画の内容を要約すると、以下のようなものです(Gemini解説)。
ライブに対する率直な思いと葛藤
- 経験による「慣れ」への反省
経験を積んだことで、ライブという場に対して良くも悪くも「こなれてしまった」「慣れてしまった」と感じる自分に対する葛藤が語られています。他の熱量が高いメンバーとの差を感じて落ち込み、ライブ後に泣いてしまったという赤裸々な思いが明かされています [42:28]。 - かつてとの「出力」の差
決して手を抜いているわけではないものの、昔ほど全力の出力を出せていない自分に気づき、活動歴の長いメンバーならではの悩みを抱えていることがわかります [43:13]。
今後の取り組みとパフォーマンスへの姿勢
- 「成功させること」から「演出・サプライズ」への進化
活動初期は「ただライブを成功させること」や「楽しませること」が目標でしたが、経験を積んで余裕が生まれた現在では、「より演出にこだわる」「サプライズを用意する」といった、一段階上のエンターテインメントを目指す姿勢へと変化しています [44:41]。 - 視聴者の期待に応えるクオリティの向上
ライブを重ねるごとに視聴者側の目も肥えてきていることを出演者自身も理解しており、上がり続けるハードルや期待に応えるために、パフォーマンスのクオリティを常に上げ続けていく必要があると語り合っています [44:55]。
私はこの動画を見て、活動歴の長いタレント側にもまだまだモチベーションがあって、今後も成長が期待できるなと思いました。本件ではライブの話に限定していますが、活動全体に通ずる話だと思います。
正直、これまではVtuber株を持っていること自体に少し不安を持っていたのですが(株価急落のリスクを多く抱えているため)、この動画を見て、もう少し安心して中長期的な目線で保有できるという感覚を持ちました。
その他、別の話ですが複数の古参ライバーが「楽しいだけど最近マンネリ感を感じていて、何か新しいことを始めなきゃと思っている」という趣旨の発言を聞いて、まだしばらくの間はにじさんじも安泰に感じました。
IR情報は以下の公式サイトから確認可能です。

ANYCOLORとカバーの比較については以下の記事でも解説していますので、興味のある方はご参照ください。



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