ANYCOLOR vs. カバー 2025年通期決算を比較!どちらが買いか?

ANYCOLOR vs. カバー2025年3月本決算比較解説 日本株
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本記事では、ANYCOLOR(5032)とカバー(5253)の2025年本決算について、決算資料をもとに両社の業績や今後の展望を比較し、それぞれの強み・課題を解説します。

2025年6月時点で、VTuber市場の2大企業として注目を集める「ANYCOLOR(にじさんじ運営)」と「カバー(ホロライブ運営)」の最新通期決算が出揃いました。

VTuberグループの大手2社の業績を確認したい方や、どちらの株式を購入しようか検討されている方の参考になれば幸いです。

なお、本記事は個別銘柄の購入をオススメする意図はありませんので、投資判断は自己責任にてお願い致します。

両社の本決算資料については以下の記事でも解説しています。

業績比較(2025年通期)

全体的にはカバーよりもANYCOLORの方が業績が強く、その影響が最近の株価の影響に繋がっている印象です。つまり、株価はANYCOLORが上昇基調で、カバーが下落基調です。

  • カバーは売上成長率ではやや上回るものの、利益水準はANYCOLORが圧倒的に優位
    • 売上高はほぼ同水準(約430億円)だが、営業利益はANYCOLORが2倍以上で、営業利益率も38%と非常に高水準
    • カバーは成長投資フェーズにあり、利益よりも事業拡大を優先している印象。
  • ANYCOLORはROE・ROAも高水準で、資本効率の良さが際立っている。
項目ANYCOLOR(5032)カバー(5253)
売上高428.8億円(+34.0%)434億円(+43.9%)
営業利益162.8億円(+31.7%)80億円(+44.5%)
当期純利益115.1億円(+31.9%)55.6億円(+34.4%)
営業利益率38.0%18.4%
ROE(自己資本利益率)約53%約39.6%
ROA(総資産利益率)約40%約18%(推定)
業績比較(2025年通期) ANYCOLOR vs. カバー

売上構成と収益モデルの違い

両社ともにグッズ等による売上が最も大きい割合を占めています。

  • ANYCOLORは特に「グッズ等(コマース)」により高収益をあげている。
    • カバーは、TCG(トレーディングカードゲーム)に強いという特徴あり。
  • カバーは「ライブ・イベント」「配信」の事業領域ではANYCOLORよりも強い。
事業領域ANYCOLORカバー
グッズ等278.4億円(売上の約65%)
【コマース】
205.4億円(売上の約47%)
【マーチャンダイジング】
ライブ・イベント28.2億円
【イベント】
77.9億円
【ライブ・イベント】
配信(YouTube等)50.6億円
【ライブストリーミング】
93.2億円
【配信・コンテンツ】
プロモーション・ライセンス70.6億円
【プロモーション】
57.4億円
【ライセンス・タイアップ】
売上構成と収益モデルの違い ※下段の【】内は、各社による事業領域の呼び方です

中期経営計画 比較(ANYCOLOR vs. カバー)

最終的な営業利益目標は両社とも近いですが(ANYCOLOR 240億、カバー 250億)、営業利益率にかなり差が開いている点に注目です。

また、ANYCOLORの方が3年も早い2027年達成を目標に掲げており、両社ともに計画通りに進捗した場合、ANYCOLORの方が強いと見ることができます。

項目ANYCOLOR(にじさんじ)カバー(ホロライブ)
目標年度2027年4月期2030年3月期
売上高目標600億円1,000億円
営業利益目標240億円250億円
営業利益率目標約40%約25%
成長戦略の軸VTuber輩出と収益拡大
グッズ販売体制強化
スタジオ・制作設備の拡充
海外展開(北米中心)
新規事業(TCG・ゲーム・ホロアース)
タレント育成と表現技術への投資
採用計画毎年10〜15%のVTuber増加人材の最適配置と100人超の採用強化(制作・開発中心)
設備投資スタジオ設備の強化
2024年秋には3倍規模のスタジオ開設
配信・音楽ライブ技術への投資、ホロアース(メタバースなど大型案件も並行開発
海外売上明記なしだが、「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!」が上海公演グッズ・コンテンツを中心に海外売上拡大(北米・アジア注力)
VTuber育成戦略VTA(バーチャル・タレント・アカデミー)で新規輩出新規デビュー+表現技術投資、露出増加施策
中期経営計画 比較表(ANYCOLOR vs. カバー)

株主還元・配当施策

ANYCOLORは利益体質が強く、株主還元の姿勢も明確にしています。特に配当性向30%以上を明言しており、投資家からの評価に繋がっていると感じます。

一方カバーはまだ成長投資を優先しており、株主還元は当面後回しの方針です。将来的な還元余地はありますが、現時点では期待しにくい状況です。

項目ANYCOLOR(にじさんじ)カバー(ホロライブ)
配当実施状況2025年4月期は65円配当実績無配(2025年3月期は配当なし)
配当方針2026年4月期から「配当性向30%以上」を目安に実施予定
2026年4月期は70円配当予定
現時点で明示なし
株主還元額(今後の計画)2027年4月期までに300億円以上を株主還元へ(自己株式取得含む)未定
※2030年3月期までに累計500億円を成長投資・M&A枠として確保(株主還元は余剰資金での可能性を示唆)
自己株式取得還元の手段として活用する可能性あり言及なし
株主還元・配当施策 比較表(ANYCOLOR vs. カバー)

ANYCOLOR 株主還元施策

  • 2027年4月期までの累計営業キャッシュフロー(約400億円)のうち、300億円以上を株主還元に充てる方針(主に自己株式取得)。
  • M&Aも積極的に検討し、最大500億円程度の予算を想定。IP獲得や新規マネタイズ機能獲得を目指す。
キャピタル・アロケーションのイメージ 【ANYCOLOR 2025年4月期 通期決算説明資料より】
キャピタル・アロケーションのイメージ 【ANYCOLOR 2025年4月期 通期決算説明資料より】
配当施策
  • 2026年4月期より剰余金の配当については、安定的かつ継続的に実施することをより
    明示するため、配当性向30%以上を目安とする方針を開示
  • 2026年4月期の配当予想は1株当たり70円(中間35円、期末35円)

カバー 株主還元施策

キャピタルアロケーションに関する方針として、2030年3月期までの5年間で、累計500億円程度を成長投資またはM&A実施枠として想定し、余剰キャッシュについては機動的な内部留保を維持しつつ、株主還元も検討するとしています。

なお、配当に関する言及は見当たりませんでした。

キャピタルアロケーションに関する方針 【カバー 2025年3月期 通期決算説明資料より】
キャピタルアロケーションに関する方針 【カバー 2025年3月期 通期決算説明資料より】

両社のファン層について

ANYCOLOR(にじさんじ)は特に女性と20代から強い人気

ANYCOLORは女性ファンが多いのが特徴です。

  • 若年層・Z世代を中心に性別・年齢幅広いファン基盤を構築
  • 特に、グッズ購入を中心に女性ファン層が多い点が特徴
ANYCOLOR IDの性別内訳 【ANYCOLOR 2025年4月期 通期決算説明資料より】
ANYCOLOR IDの性別内訳 【ANYCOLOR 2025年4月期 通期決算説明資料より】
ANYCOLOR IDの年齢内訳 【ANYCOLOR 2025年4月期 通期決算説明資料より】
ANYCOLOR IDの年齢内訳 【ANYCOLOR 2025年4月期 通期決算説明資料より】

一方、カバーについては具体的な内訳は示されていませんが、ホロライブは女性VTuberに特化したアイドル事務所的な側面があり、男性ファンが多く占めていることがうかがえます。
※男性Vtuberは、ホロスターズという別ブランドにて活動しています

その意味では、意外とファン層は両社で食い合っていないのかもしれません。

また、他の方が記事にしていましたが、にじさんじの方がVTuberにおける男女間の垣根がないと書いており、少し納得しました。これにより、より広い層のファン獲得や、コラボ等を含む今後の広がりの可能性を感じさせます。

これは両社の課題ですが、配信者(VTuber)の定着が重要であるため、配信者本人にとってもやりがいや居心地の良さがあった方が定着に繋がるかもしれませんね。

ホロライブは海外視聴比率も高め

ホロライブの海外視聴者比率は、30.1%と記載されています。
一方のANYCOLORについては明記されていませんが、2024年の通期売上高は、にじさんじ(日本)が約267億円、NIJISANJI ENが約49億円となっており、日本国内が主力であることがうかがえます。

なお、ANYCOLORのVtuber数はにじさんじ(日本)が135名、NIJISANJI ENが35名となっています。

決算資料全体を通して、カバーの方が海外展開に関する記載が多いように感じました。「ホロライブEnglish」の活動実績や、今後の海外展開のビジョン等についての記載があり、注力の高さがうかがえます。

ANYCOLORでもグローバル向けのグループ「NIJISANJI EN」を擁しているはずですが、決算資料では今後の展開についてほとんど言及されていませんでした。

ANYCOLOR・カバー 銘柄基本情報(株価データ)

以下のデータは、2025年6月13日時点のものです。

指標ANYCOLOR(5032)カバー(5253)
株価4,955円【2025/6/13終値】2,100円【2025/6/13終値】
時価総額3,024億円1,379億円
PER(予想)22.95倍24.2倍
PBR(実績)13.77倍8.14倍
配当利回り1.41%(配当70円予想)0%(配当予定なし)
ROE55.2%39.6%
EPS(予想)215.86~227.22円86.82円
ANYCOLOR vs. カバー 銘柄基本情報(株価データ)

株価チャート

ANYCOLOR(5032):赤カバー(5253):青の比較チャートです。
2025年6月11日のANYCOLOR本決算発表後、株価は急騰しており、決算内容が市場から好意的に受け止められたことがうかがえます。

ANYCOLOR(5032):赤 VS. カバー(5253):青 TradingView提供のチャート
ANYCOLOR(5032):赤 vs. カバー(5253):青 TradingView提供のチャート

まとめ

今回の記事では、ANYCOLOR(5032)と、カバー(5253)の2025年本決算について、決算資料をもとに両社の業績や今後の展望を比較し、それぞれの強み・課題を解説しました。

項目ANYCOLOR(にじさんじ)カバー(ホロライブ)
決算期2025年4月期2025年3月期
売上高428.8億円(+34.0%)434億円(+43.9%)
営業利益162.8億円(+31.7%)80億円(+44.5%)
営業利益率38.0%18.4%
当期純利益115.1億円(+31.9%)55.6億円(+34.4%)
主力売上分野グッズ:278.4億円グッズ(TCG含む):205億円
イベント売上28.2億円77.9億円(+39.1%)
配信・音楽収益50.6億円(横ばい)93.2億円(+21.9%)
プロモーション/タイアップ70.6億円57.4億円(+29.4%)
利益率営業利益率が高く、利益体質が良好先行投資の影響でANYCOLORに劣後
中期目標売上600億円、営業利益240億円(2027年)売上1,000億円、営業利益250億円(2030年)
配当方針配当性向30%以上を目安(2026年4月期より)明示なし
時価総額(2025年6月時点)2,500億円1,382億円
ANYCOLOR vs. カバー 総括比較表

両社とも目覚ましいスピードで売上高・営業利益を上げ続けていますが、2025年6月の現時点ではANYCOLORに軍配が上がる状況となっており、両社の株価もそれを反映するような推移となっています。

今後の投資判断のポイントとなるのは、以下の点であると考えます。

  • ANYCOLOR:現状の勢いを今後も継続できるか
  • カバー:売上高を拡大しつつ、営業利益率を改善できるか

特にカバーは、どうしてもANYCOLORと比較されてしまいがちですので、現状既に高めの営業利益率をさらに上回ってこなければ、なかなか投資家からの評価に繋がらないという状況であると思います。

また、カバーは現在先行投資に力を入れており配当を含む株主還元ができていない状況ですので、もし今後利益率が改善し株主還元や配当施策が発表されれば、ポジティブ・サプライズとなり株価急騰に繋がる可能性も秘めていると感じます。
その意味では、カバーへの投資はハイリスク・ハイリターンの面があるかと思います。

私自身、VTuberの配信をたまに見ることがありますが、面白いうえに勢いもドンドン増していると感じています。

ただし、決算資料を見て私自身意外でしたが、両社とも売上のうち最も大きな割合を占めるのはグッズ等によるものです。

このため、YouTubeによる配信の勢いだけで判断するのは危険であると考えます。
グッズ、配信、イベント等を総合的に勘案して投資判断をしたいところです。

なお、IR情報は以下の公式サイトから確認可能です。

IRニュース | ANYCOLOR株式会社(ANYCOLOR Inc.)
ANYCOLOR株式会社は、2017年5月2日に設立されたエンターテイメント系スタートアップです。私達は「エンタメ経済圏」が加速する新時代の切り込み役として、世界の人々の日常に魔法をかけていきます。
IRニュース | カバー株式会社
カバー株式会社(証券コード:5253)は、「ホロライブプロダクション」をはじめとした日本ならではのコンテンツを世界に向けて発信している、次世代のエンターテインメント企業です。
*投資判断は自己責任にてお願い致します

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